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研究分野分類:5703 地盤工学 産業分類:学術・開発研究機関,総合工事業 |
キーワード:堤防,補強,間隙空気の制御,豪雨,洪水 |
工学 |
土木工学 |
前田健一(社会工学専攻) |
研究概要 巨大風水害、津波にも耐えことができる、ねばり強い堤防の補強方法を提案することが可能です。具体的な例は、集中豪雨です。この場合は通常の降雨とは異なり、堤防内部の間隙の空気を囲い込み、その空気圧が上昇して浮力と水圧で堤防の弱部から外に押し出され噴出する現象、名付けて「エアブロー現象」が破壊を引き起こすことに着目しています。 |
特徴 エアブロー現象は、80mm/hr以上の集中豪雨で、砂質系の堤防(大都会ではほとんどがこの条件)で発生することを実証し、都会型集中豪雨による被災メカニズムの一つをつきとめました。 |
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背景・従来技術 従来、河川堤防の破壊の原因は、河川の水位が上昇し、その圧力による浸透とされてきました。しかし、都会で増えている集中豪雨の場合は、通常の降雨とは異なるメカニズムを有することが本研究により分ってきました。 |
実用化イメージ 従来の水の浸入を防ぐだけの遮水対策は逆効果であることも判明しました。堤防外部からの水の浸入軽減と内部からの空気を逃がす「呼吸するシート」(通気遮水機能を持ったシート)を被覆することで、間隙空気を逃がしながら水をゆっくりと堤防に引き込むことが重要であることが分かっています。 |
研究者からのメッセージ
すでに実堤防において写真のような模型実験を行い、そこでの数値解析も実施しています。これらのデータは、実用化のために有効なものとして行政や企業に利用していただくことが可能です。
文献・特許
・模擬堤防土槽実験によるエアブローの確認と数値解析(優秀賞受賞) 河川技術論文集18巻
・不飽和堤防の急速浸潤化に伴う間隙空気の挙動と比抵抗モニタリングによる可視化 河川技術論文集18巻
・EPS盛土を使った堤体横断面の表面波探査 河川技術論文集18巻
・高速流体の作用に伴う間隙圧の変化に着目した洗掘現象の実験的考察(支部賞受賞) 地盤工学会中部支部
・豪雨浸透時の三相系堤防内における間隙空気の挙動の可視化 平成24年度土木学会全国大会 第67回年次学術講演会
試作品状況 | 無し | 掲示可 | 提供可 |
利用可能な設備・装置 降雨装置付き土槽実験装置 個別要素法による数値計算 土砂災害用小型簡易斜路 振動台実験装置 粒子法による数値計算 各種土質試験装置 |
共同研究を希望するテーマ 河川堤防・流域の地盤工学的補強 落石の緩衝技術 豪雨対策,土砂災害対策 沿岸構造物をねばり強くする技術開発 陥没の予測とその対策 粒子と流体の相互作用に関わる技術 |
研究者データベースとのリンク(名前をクリックしてください) 研究者名:前田健一 |
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