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~糖を使って病気を治す~

糖鎖の生物学的機能の利用

研究分野分類:5305 生体関連化学
産業分類: 化学工業
キーワード:糖鎖工学,生体機能化学,生体関連高分子,生物制御化学,バイオマテリアル
化学
複合化学
宮川 淳(物質工学専攻)
研究概要
 糖鎖がもつ生物学的機能を人工的に再構築もしくは高機能化して、有用な素材として利用可能にすることを目指しています。その中で糖鎖の機能について、探索も行っています。その1つのテーマとして、O-157をはじめとした毒素産生菌の感染症特効薬の開発を試みています。
特徴
 ベロ毒素は、5~15個のグロボ3糖を同時に認識して強く結合することにより中和されるため、高い中和活性を発現するためには、グロボ3糖を集積化する必要がありました。我々は、このグロボ3糖を集積化した糖鎖高分子の合成に成功しています。
背景・従来技術
 病原性大腸菌O-157は、集団感染が毎年報告され、重大な被害を及ぼす細菌にも関わらず、未だに感染症の効果的な治療法がありません。O-157には有効な抗菌剤は存在するものの、死滅することによってO-157内部に蓄積したベロ毒素を大量に放出させるため、かえって症状が悪化してしまうのです。
実用化イメージ
 我々は他にも、抗菌作用のある糖誘導体の技術を有しており、これをベロ毒素の中和剤技術と融合させることにより、O-157の特効薬としての実用化が期待出来ます。

企業等への提案

研究者からのメッセージ
 糖鎖が担っている生体内での機能調整や、糖鎖を特異的に認識する病原物質の選択的な除去・検出を行うための材料開発を行っています。ぜひ素材や手法としてご活用いただき、実用化に向けてご協力を願い致します。
文献・特許
・宮川淳他、未来材料、2006年7月、「糖鎖高分子の医療用途を考える」
・Atsushi Miyagawa et al., Chem. Lett., 37(4), 438-439 (2008)

試作品状況 無し 掲示可 提供可

 

利用可能な設備・装置
有機合成関連装置
共同研究を希望するテーマ
機能性糖鎖の合成および利用
糖鎖高分子の固定化による応用
多糖の機能化およびその応用
研究者データベースとのリンク(名前をクリックしてください)
研究者名:宮川 淳