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~電波を新しい次元で操作~

波形選択メタサーフェス

研究分野分類:5604 通信・ネットワーク工学
産業分類:情報通信機械器具製造業 ,電子部品・デバイス・電子回路製造業
キーワード:無線通信,電波,周波数有効利用,多重化,メタサーフェス
工学
電気電子工学
若土弘樹(若手イノベータ養成センター),安在大祐(情報工学専攻)
研究概要
 メタサーフェスとは、電波への応答を人工的に制御するために、二次元上に構築された金属の周期構造です。本研究では、そこにダイオードなどの回路素子を組み込むことにより、同一周波数でも波形、すなわちパルス幅に応じて電磁応答を変化させる波形選択性を備えたメタサーフェスを開発しました(図1)。
特徴
 波形選択性は電波のパルス幅(励振時間)を変えるという新しい概念を導入します。ダイオードで直流成分へと整流したパルスをキャパシタ、インダクタの時間領域応答により制御します。回路の時定数を適切に選ぶことにより、任意の時間幅の信号を透過させることができます(図2)。
背景・従来技術
 従来、電磁界研究分野では「周波数が固定されていた場合の各材料の振る舞いは一定」と認識されてきました。すなわち、従来の材料では同一周波数上で異なる電波を選択的に識別(反射、透過、吸収など)することは不可能と考えられてきました。
実用化イメージ
 同一周波数でもパルス幅を選択可能な新しい通信機を導入することにより、周波数利用効率をさらに向上させることができます。また、パルスレーダーに応用すれば、電波の干渉を低減することが可能になります。

 

企業等への提案

研究者からのメッセージ
 波形選択メタサーフェスの原理的可能性を確認した基礎研究の段階です。今後応用研究から開発へと進展させるために、応用製品について様々な構想をお持ちの企業との共同研究を期待しています。
文献・特許
・特願2014-253858、『フィルタ』
・特願2014-257559、『波形選択性と時間領域制御を実現する通信端末・通話システム』
・H. Wakatsuchi et al., “Waveform-Dependent Absorbing Metasurfaces,” Phys. Rev. Lett.,111, 245501, 2013 (Nature誌で紹介:Nature, 505, 490-491, 2014).

試作品状況 無し 掲示可 提供可

 

利用可能な設備・装置
ネットワークアナライザ
信号発生器
パワーメータ
パワーセンサ
共同研究を希望するテーマ
メタサーフェス回路素子の高性能化
移動通信の多重化
レーダーの高精度化
研究者データベースとのリンク(名前をクリックしてください)
研究者名:若土弘樹 , 安在大祐