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~極性転換でβ炭素間も結合可能~

金属フリーな分子触媒を用いたビニル化合物の反応開発

研究分野分類:5303 高分子化学
産業分類:化学工業,プラスチック製品製造業(別掲を除く)
キーワード:高分子合成,有機分子触媒,ファインケミカルズ
化学
複合化学
松岡真一(物質工学専攻)
研究概要
 各種分子触媒を用いたビニル化合物(モノマー)類の新規反応開発を行っています。その中でも求核性の有機塩基であるN- ヘテロ環状カルベン(NHC) の触媒作用に着目し、電子不足なビニルモノマーの触媒的なtail-to-tail 二量化反応を見出しています。この研究テーマ以外にも、NHC を用いた不飽和ポリエステルの高耐熱化や、ルイス酸触媒を用いたビニルシクロプロパン類の反応や重合、各種分子触媒によるマイケル付加重合等を検討しています。
特徴
 NHC 触媒反応は、炭素原子を活性中心とする特徴的な反応です。NHC 触媒により、電子不足なビニル基を電子豊富な状態へと極性転換させることができます。これによりβ炭素( 官能基から2 番目の炭素) 間での結合生成が可能となりました。
背景・従来技術
 二量化反応に関しては金属触媒による反応が数例報告されていますが、触媒が特殊であり基質適用範囲が狭くなってしまいます。一方、NHC 触媒は市販されているほど高汎用性化合物です。
実用化イメージ
 各反応生成物を高分子合成へと展開することを念頭に置き研究を行っています。二量体は各種縮合系高分子の原料としての活用が期待されます。

 

企業等への提案

研究者からのメッセージ
 上記のテーマ以外にも、ビニルモノマーの重合の分野などにもご相談に乗れると思います。
文献・特許
・特願2014-141340,『 高耐熱化不飽和ポリエステルおよび不飽和ポリエステルの高耐熱化法』
・Terumasa Kato, Shin-ichi Matsuoka and Masato Suzuki, J. Org. Chem., 79, 4484–4491 (2014)
・Shin-ichi Matsuoka, Shoko Namera, Atsushi Washio, Koji Takagi and Masato Suzuki, Org. Lett., 15,5916-5919 (2013)
・Terumasa Kato, Yoshiya Ota, Shin-ichi Matsuoka, Koji Takagi and Masato Suzuki, J. Org. Chem., 78,8739-8747 (2013)
・Shin-ichi Matsuoka, Yoshiya Ota, Atsushi Washio, Akiho Katada, Kenji Ichioka, Koji Takagi and Masato Suzuki Org. Lett., 13, 3722-3725 (2011)

試作品状況 無し 掲示可 提供可

 

利用可能な設備・装置
核磁気共鳴装置
分子量測定装置(GPC)
赤外分光装置
その他、合成化学で利用する装置全般
共同研究を希望するテーマ
適宜ご相談させてください
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研究者名:松岡真一
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