研究紹介詳細表示

~バイク・自動車の排熱から電気を作る~

擬ギャップ工学に基づく新規熱電材料開発

研究分野分類:5901 金属物性・材料
産業分類:金属製品製造業,電子部品・デバイス・電子回路製造業
キーワード:エネルギー材料,電子・磁気物性,磁性・電子・情報材料,エネルギー変換,原子・電子構造評価
工学
材料工学
西野洋一(未来材料創成工学専攻)
研究概要
 熱電発電は、ゼーベック効果を利用して熱エネルギーを電気エネルギーに直接変換する発電方法です。この技術により、工場や自動車などから排出される未利用の廃熱を電気エネルギーとして回収することができ、定常的に排出されるような工場廃熱を利用すれば、太陽光発電よりも低コストの再生エネルギーとなります。
特徴
 Fe2VAl 系は熱伝導率が高いため変換効率では劣りますが、出力因子による発電性能はBi2Te3系よりも高いです。また、発電性能が高いことは高出力密度化に寄与するので、熱電発電システムの小型化が可能であり、とくに材料密度が低いために重量あたりの出力が大きく、さらに軽量化にも有利です。
背景・従来技術
 既存熱電材料のBi2Te3系は、性能向上のために希少金属のBi やTe のほかに毒性の強い元素Se の添加が不可欠ですので、安全性やコストの点で問題があります。また、Bi2Te3系はへき開性が強いために機械的強度が低いという問題もあります。
実用化イメージ
 自動車や自動二輪車のような移動体に熱電発電システムを導入することにより、走行中の発電機での発電負荷を低減して燃費の向上に寄与するとともに、温室効果ガスの削減や環境汚染物質の低減も期待できます。

 

企業等への提案

研究者からのメッセージ
 擬ギャップ工学による材料機能設計法を提案しており、高効率の熱電材料の探索に活用しています。また基礎研究のみならず、自動車・バイクなど移動体の廃熱利用発電への実用化に向けた応用研究にも展開しています。

文献・特許
・特許第4035572 号,『熱電変換材料、その製造方法及び熱電変換素子』
・特許第4750349 号,『熱電変換材料の製造方法』,特許第5070546 号,特許第5303721 号,『熱電変換材料』
・西野洋一,三上祐史,日本物理学会誌 68 巻, 350 (2013)
・西野洋一,金属 79 巻,231 (2009)
・Y. Nishino, Y. Tamada, Journal of Applied Physics, Vol. 115, 123707 (2014)

試作品状況 無し 掲示可 提供可

 

利用可能な設備・装置
・ゼーベック効果測定装置
・レーザーフラッシュ熱伝導測定装置
・熱電特性評価装置
・電気抵抗測定装置
・X線ディフラクトメータ
・内部摩擦測定装置
共同研究を希望するテーマ
・ホイスラー化合物熱電材料の発電応用
・擬ギャップ工学による材料機能設計
・薄膜材料の力学特性評価
・環境調和型熱電材料の開発
・金属間化合物の高温強度設計
・内部摩擦による非破壊強度評価
研究者データベースとのリンク(名前をクリックしてください)
研究者名:西野洋一
PDF表示と印刷