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~霊長類はどのように色を識別しているのか?~

色を見分ける視覚タンパク質の構造解析

技術分野分類:6704 生物物理学
産業分類:学術・開発研究機関
技術キーワード:タンパク質・核酸の構造・動態・機能,生体膜・受容体・チャンネル,光生物,構造生物学,スペクトル分析
生物学
生物科学
神取秀樹(未来材料創成工学専攻)
技術概要
ヒトが色を識別するメカニズムを解明するため、赤色と緑色を感じる光センサータンパク質の赤外分光解析を行う。
特徴
世界中で他にない研究、という点ではこれほどの独創性はないだろう。試料調製が困難な色覚センサータンパク質に対し、ひたすら多くの試料を調製するという「力業 (ちからわざ)」と、世界最高の赤外分光により、わずか1個の原子間振動を捉えるという「エレガントな計測」の組み合わせによって、世界初の構造解析を実現した。
背景・従来技術
我々の視覚には明暗視と色覚があり、それぞれ1種類、3種類のタンパク質が働いている。明暗視センサーはウシやイカから大量の試料が調製できることから、既に結晶構造が解明されている一方、色覚センサーの構造情報は皆無であり、我々の色識別メカニズムは謎のままであった。
実用化イメージ
本研究は「我々が色をどうやって見分けているのか?」という根源的な疑問に対し、実験的に明らかにしようとしているものであり、基礎研究であるが故に、我々の成果がそのまま医療に役立つわけではない。しかし色覚の分子機構を解明することで、将来的には色盲など視覚関連疾患の原因が解明され、遺伝子診断や治療に役立つことが期待される。

企業への提案

研究者から企業へのメッセージ
iPS細胞による目の網膜の再生に向けた臨床研究が了承された。解明にはまだ至っていないが、我々の研究によって明らかにしてきた色覚の分子機構は、網膜の再生医療研究の促進に大きく貢献できると期待される。

文献・特許
・K. Katayama, Y. Furutani, H. Imai and H. Kandori, Angew. Chem. Int. Ed. (2010). 35紙の新聞で報道、NHK ニュース(テレビ・ラジオ)で紹介
・K. Katayama, Y. Furutani, H. Imai and H. Kandori, Biochemistry (2012). 1紙の新聞で報道

試作品状況 無し 掲示可 提供可

 

利用可能な設備・装置
赤外分光器クリーンベンチ
CO2インキュベータ
共同研究を希望するテーマ
色覚異常治療に向けた色覚タンパク質の分子基盤確立
研究者データベースとのリンク(名前をクリックしてください)研究者名:神取秀樹
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