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~光のエネルギーで細胞内のナトリウムを排出~

光で細胞内のナトリウムイオンを輸送するタンパク質

技術分野分類:6701 分子生物学
産業分類:学術・開発研究機関,医療業
技術キーワード:トランスポーター・能動輸送,創薬・ゲノム薬理学,光脳科学,光生物,光学素子・装置・材料
生物学
生物科学
神取秀樹(未来材料創成工学専攻) 
技術概要
私たちは海洋性の細菌から、新たに光で細胞内のナトリウムイオンやリチウムイオンを排出できるタンパク質を発見しました。ナトリウムイオンやリチウムイオンは高血圧やうつ病などの疾患と密接に関連することから、それらの治療などに大きく貢献する可能性が期待されます。
特徴
私たちが新しく発見したタンパク質は、細胞内に蓄積したナトリウムイオンやリチウムイオンを光のエネルギーを使って排出するという、これまで無かった機能を持っています。そしてこれまでの透析法と比べ、光を当てるだけのより簡便な方法でナトリウムやリチウムの排出を行うことで、それらが関係する疾患の治療法の確立に向けた新たな観点からのツールとなる事が期待されます。
背景・従来技術
ナトリウムイオンは高血圧の主たる原因であり、一方でうつ病の治療に使われるリチウムイオンは細胞内に高濃度に蓄積すると高い毒性を持つことが知られています。しかし生体からこれらのイオンだけを選択的に取り除くには、透析などの大がかりな装置が必要でした。
実用化イメージ
将来的には私たちのタンパク質を用いて、光で高血圧や高リチウム中毒の治療を可能にすることを目指して、更なる高機能分子の設計や細胞への応用研究を行っています。

企業への提案

研究者から企業へのメッセージ
生体内のナトリウムの制御は高血圧などの治療に重要です。私達が発見したナトリウムポンプ型ロドプシンは、光で細胞からナトリウムを排出できる唯一のタンパク質であり、今後医療や製薬分野での応用が期待されます。

文献・特許
・Inoue, K.; Ono, H.; Abe-Yoshizumi, R.; Yoshizawa, S.; Ito, H.; Kogure, K.; Kandori, H. Nat Commun 2013, 4, 1678

試作品状況 無し 掲示可 提供可

 

利用可能な設備・装置
赤外分光器
ナノ秒パルスレーザー
共同研究を希望するテーマ
ナトリウムポンプ型ロドプシンの医薬応用
様々なカチオンの輸送が可能な分子設計
高輸送能を持つ分子の開発
研究者データベースとのリンク(名前をクリックしてください)
研究者名:神取秀樹
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