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~酸素が透過するセラミックスを用いて省エネで水素をつくる~

燃料電池用酸素透過性セラミックスの開発

技術分野分類:5902 無機材料・物性
産業分類:電子部品・デバイス・電子回路製造業,ガス業
技術キーワード:機能性セラミックス材料,混合導電性セラミックス,燃料電池,水素製造
工学
材料工学
籠宮功(物質工学専攻)
技術概要
セラミックスの一部には、酸素イオンと電子の両方が伝導するセラミックス(混合導電性セラミックス)があります。 この混合導電性セラミックスを、酸素分圧差のある環境に設置すると、酸素ガスを酸素分圧の高い方から低い方へ透過させることができます。このように透過した酸素とメタンを反応させることで、省エネで水素を作ることに応用できます。
特徴
混合導電性セラミックスの片側を大気、もう片方をメタンに晒しておくだけで、800℃以上で酸素がメタン側に透過し、その純酸素がメタンと反応し、半持続的に水素を作ることができます。このとき、温度を上げるだけで、他に外部電力を必要とせず、またメタンと酸素の反応が発熱反応のため、省エネに優れます。
背景・従来技術
家庭用燃料電池の普及が見込まれる現在、その燃料となる水素の需要が急速に増加しつつあります。それに伴い、効率的に水素を製造、供給できるシステムの構築も重要になってきています。
実用化イメージ
都市ガスのインフラを利用することで、メタンガスを各家庭に簡単に供給することが可能です。このメタンガスと酸素透過性セラミックスを用いれば、一家に一台設置できるシンプルかつ省エネな水素製造器が実現できます。


家庭用燃料電池による分散型発電システム


酸素透過性セラミックス(混合導電性セラミックスによる)水素製造

企業への提案

研究者から企業へのメッセージ
酸素透過性セラミックス、新しい燃料電池空気極材料、小型水素製造器の開発に興味がある方、ご連絡をお待ちしています。

文献・特許
・特願2003-352594 「酸素イオン透過膜構造体」
・I. Kagomiya, M. Suzumura, K. Kakimoto and H. Ohsato, “Oxygen Permeation and Microstructure of Intergrowth Perovskite Sr-La-Fe-Co Based Mixed-conductive Ceramics”, J. Ceram. Soc. Jpn., 117, 996-998 (2009).
・I. Kagomiya, M. Suzumura, K. Kakimoto and H. Ohsato, “Influence of Layered Perovskite Structure on Oxygen Permeability of Sr-La-Fe-Co oxide”, J. Phys. Soc. Jpn. 79, Suppl. A 109-112 (2010).

試作品状況 無し 掲示可 提供可

 

利用可能な設備・装置
酸素透過性能測定装置
混合導電性セラミックスのイオン導電率測定
共同研究を希望するテーマ
酸素透過性セラミックスの高性能化の研究
固体酸化物型燃料電池用空気極材料の研究開発
小型水素製造器の試作
研究者データベースとのリンク(名前をクリックしてください)
研究者名:籠宮功
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