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~材料を振動させるだけの強度評価システム~

内部摩擦測定による材料の非破壊強度評価

研究分野分類:5901 金属物性・材料
産業分類:非鉄金属製造業,金属製品製造業
キーワード:力学物性,格子欠陥,非破壊検査,振動解析・試験,結晶評価
工学
材料工学
井手直樹(物質工学専攻)
研究概要
 試料を弾性振動させると弾性率を評価できるだけでなく、その減衰過程から内部摩擦や減衰能を評価できます。さらに、内部摩擦を精密測定してその振幅依存性を調べることにより、応力-歪曲線を得ることができます。つまり試料を振動させるだけで、弾性定数、減衰能、変形応力を同時に非破壊で評価できるのです。
特徴
 内部摩擦測定を応用すれば、弾性定数、減衰能、変形応力を同時に非破壊で測定できるため、単一試料で変形応力の温度依存性を評価できるなど、効率的に材料の機械的性質を評価することが可能になります。特に、減衰能と変形応力が1 回の測定で同時に評価ができることは、高減衰能材料の開発において有効です。
背景・従来技術
 一般的な材料強度の評価方法は破壊試験であるため、同一試料を繰り返し使用できず、試験の回数分の試験片が必要になります。また、高減衰能材料では、高強度と高減衰能の両立が重要ですが、従来この2 つの性質は別々の装置を用いて測定する必要がありました。
実用化イメージ
 試験片は装置にマウントするだけです。電磁駆動等で共振振動させた後に自由減衰させ、その間の減衰振動を検出し、検出された振動信号は独自プログラムを組み込んだ解析用PCにより自動解析されます。

企業等への提案

研究者からのメッセージ
 企業との共同研究の実績として、基板上の金属薄膜の弾性率評価があります。本技術では、材料の減衰能と強度特性を同時に調べることができるので、今後は高減衰能材料の開発において重要な技術になると考えています。

文献・特許
・Ide et al., Mater. Sci. Eng. A 442 (2006) 156.

試作品状況 無し 掲示可 提供可

 

利用可能な設備・装置
・内部摩擦測定装置
・ビッカース硬度試験器
・引張試験機
・内部摩擦データ解析プログラム
・高温圧縮試験機
共同研究を希望するテーマ
・本評価法で得られた結果の検証
・一般技術者向けの測定装置開発
・共振および減衰測定の自動化
研究者データベースとのリンク(名前をクリックしてください)
研究者名:井手直樹
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