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研究分野分類:5501 機械材料・材料力学 産業分類:鉄鋼業,輸送用機械器具製造業 |
キーワード:材料評価,信頼性設計,音 |
工学 |
機械工学 |
伊藤智啓(機能工学専攻) |
研究概要 材料の応力-ひずみ関係に非線形性があると、超音波の圧縮と引張の伝播速度に違いが生じ、波形がひずみます。それは入射周波数の整数倍の高調波として現れ、この高調波を検出することにより、従来の超音波非破壊検査では難しい粗大結晶粒中の欠陥や、弱結合部の検出に威力を発揮します。 |
特徴 入射波に含まれない高調波の存在は、超音波伝播経路中の材料に非線形性があることを意味します。結晶粒界での反射では高調波は発生しないので、高調波の利用は高散乱材料の欠陥検出に有効です。介在物と母材の結合力は弱く非線形性を示すので、結晶粒より小さい介在物も検出できます。 |
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背景・従来技術 結晶粒が粗大化した材料や、複合材料などの欠陥を超音波非破壊検査する際に、超音波の散乱によるノイズに埋もれ欠陥の検出は困難になります。また、スポット溶接のキッシングボンドのように十分な接合強度を持たない部分は、超音波をほとんど透過し、反射波の強度に着目する従来の超音波非破壊検査法では検出できません。 | 実用化イメージ 抜き取り検査していたスポット溶接の健全性を全数評価でき、信頼性が向上します。複合材料の剥離などの小さな欠陥も検出でき、構造の軽量化と安全性の向上に寄与できます。 |
高散乱材料表面亀裂からの反射表面波の受信波形とそのWavelet変換
それぞれ8、12、16μsあたりから反射波が受信されるが、受信波形からは亀裂を検出できない。
入射周波数4MHzの2倍の8MHz高調波に着目すると、その時間から高調波が検出され、高調波を発生する亀裂の存在と、その位置がわかる。
企業等への提案
研究者からのメッセージ
高調波を検出する非線形超音波法により、非破壊検査を高精度化する研究をしています。また、結晶粒界での散乱を定量的に評価できる超音波伝播解析を、非線形超音波測定の検討に利用しています。
文献・特許
・特許第4425011号 「非線形超音波による介在物検出方法及び装置」
・Detection and Imaging of Nonmetallic Inclusions in Continuously Cast Steel Plates by Higher Harmonics, Japanese Journal of Applied Physics (2010-07)
・非線形超音波(高次超音波)を用いた部品の不完全接合部の非破壊評価,自動車技術会論文集(2007-09)
試作品状況 | 無し | 掲示可 | 提供可 |
利用可能な設備・装置 超音波送受信装置 水槽と6軸走査装置 各種探触子 可視化ソフトウエア |
共同研究を希望するテーマ 超音波非破壊検査 超音波伝播解析 非線形超音波 超音波散乱解析 |
研究者データベースとのリンク(名前をクリックしてください) 研究者名:伊藤智啓 |
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