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~サブナノレベルの高分子材料空孔サイズを測る~

XeNMR法による非金属材料のナノ空孔計測

分野分類:5402 高分子・繊維材料
産業分類: プラスチック製品製造業,ゴム製品製造業
キーワード:有機・高分子分析,機器分析,機能材料,高分子材料物性,高分子系複合材料
化学
材料化学
吉水広明(物質工学専攻)
研究概要
キセノン(Xe)を高分子試料に溶解させてNMRスペクトルを観測し、電子顕微鏡では観察不可能な0.1ナノメートルレベルの極微小空間のサイズを計測する方法。
特徴
極微小空間のサイズを計測する方法として、陽電子消滅寿命法が有用でかつ有名であるが、NMR法による本法は放射線と無縁でより安全な方法である。また。サイズ評価のみではなく、材料中の気体分子の動きについても詳細な検討ができるので、気体制御に係る材料開発に適している。
背景・従来技術
高分子材料に気体が溶け込む現象は、複雑に絡み合った高分子鎖の間隙や結晶固体中などにある微小な空間に気体分子がはまり込んだ状態といえる。ハイガスバリヤ材や高性能気体分離膜などを創成するために、この微小空間のサイズを正確に計測する手法は重要で、その開発が望まれている。
実用化イメージ
キセノン(Xe)ガスを容易に導入可能な専用試料管に高分子試料を充填したら、あとはNMRスペクトルを観測するだけ、NMR分光計の性能が高ければ数分で測定は終了。データを研究室に持ち帰り、パソコンで解析すれば目的の物性値がえられる。これを開発担当者に渡せば喜ばれ、材料開発がどんどん進む!


左図にスペクトルの一例を示す。試料に溶解したXeの信号位置はそれが存在する微小空間のサイズを反映して変化するので、これを解析してサイズが決定できる。右図に微小空間の平均体積vをその空間部分へのXeの平衡収着量CH’に対してプロットした。両者は線形な関係にあることが分かる。また、この直線の切片がXe原子の体積に一致するので、計測の精度も実証される。

企業等への提案

研究者からのメッセージ
私共では、各種高分子材料に気体が絡んだ現象の基礎データ取りに励んでいます。気体収着や透過実験に関する技術相談だけでなく、依頼測定もお気軽にお尋ねください。いろいろな構造解析についても同様に対応します。

文献・特許
129Xe NMR法を用いた高分子固体の高次構造解析, 吉水広明, ケミカルエンジニヤリング, 56,636-643, (2011).
・“NMR法の気体分離膜解析への応用”, 吉水広明, 繊維学会誌, 68,P323-P328, (2012).

試作品状況 無し 掲示可 提供可

 

利用可能な設備・装置
気体収着測定装置(数種類・複数台あり)
気体透過測定装置(複数台あり)
NMR分光計(大型設備基盤センター)
圧縮気体が導入可能な特殊試料管システム
共同研究を希望するテーマ
気体分離膜の開発と特性評価
ガスバリヤ材の開発と特性評価
圧縮気体取扱い用特殊試料管の開発
複合材料の構造解析
ゲルなどソフトマテリアルの開発・評価
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研究者名:吉水広明
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