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~生体を真似た新しいセンサー~

認識多様性を有する自立センシングシステム

研究分野分類:5303 高分子化学
産業分類:化学工業,保健衛生
キーワード:自己組織化高分子,分子素子,センサー・モニタリング,分子認識,ナノ機能材料
化学
複合化学
樋口真弘(物質工学専攻)
研究概要
 私たちは、この小さな体の中に、さまざまな刺激に対して反応するセンサーを備えています。また、免疫系では、様々な物質に対して、それを捉え、応答することで、私たちを感染症などから防いでくれています。当研究室では、生物の機能を真似た新しいセンサーの構築に取り組んでいます。
特徴
 当研究室の新しいセンサーは、調べたい物質の”形”を記憶した分子の集まりより成ります。この分子の集まりの先には、記憶した物質を”捉える”場所が作られます。また、それと同時に分子の集まりの中には、イオンを通す”孔”が作られます。
背景・従来技術
 これまでに、非常に感度の良いセンサーは数多く作られ、実際に使われています。しかしながら、調べたい物質に対して、その都度、個々にセンサーを作らなければならず、最近問題になっている新種ウイルスのセンサーなどは、直ぐに作ることができません。また、その取り扱いにも、専門的知識や、大掛かりな装置が必要でした。
実用化イメージ
 この新しいセンサーを用いると、”形”を記憶した分子を”捉えた”ときだけ、分子の集まりの中の”孔”が塞がれて、電気が流れなくなり、その物質の有無が電気信号で分かる、簡単なセンサーができます。


同じ材料よりなる異なる蛋白質で誘起させたセンサーを用いた種々の蛋白質のセンシング。
PNA(ピーナッツレクチン)で誘起させたセンサーはPNAにのみ(左図)、ConA(コンカナバリンA)で誘起させたセンサーはConAにのみ(右図)にそれぞれ応答し、キャパシタンス電流の増加が認められる。

企業等への提案

研究者からのメッセージ
 樋口研究室では、分子の自己組織化を用いて形成したナノ構造体を用いて、各種機能性材料の構築を目的に研究しています。

文献・特許
・特許第 3823178号 「多様性を有するセンサーチップ」
・特願2006-043559 「物質認識能と情報変換能を併せ持つセンサー」
・“Substrate-Induced Conformation of an Artificial Receptor with Two Receptor Sites” M. Higuchi,T. Koga, K. Taguchi, and T. Kinoshita, Langmuir, 18, 813-818 (2002).

試作品状況 無し 掲示可 提供可

 

利用可能な設備・装置 共同研究を希望するテーマ
実用化研究
用途開発研究
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研究者名:樋口真弘
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