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~光で駆動するナノ反応場~

一軸配向ペプチドナノアレーを用いた酵素の活性制御

研究分野分類:5303 高分子化学
産業分類:化学工業,保健衛生
キーワード:自己組織化高分子,分子素子,ナノ表面・界面,ナノ光デバイス,ナノ機能材料
化学
複合化学
樋口真弘(物質工学専攻)
研究概要
 私たちは、大きな分極を持つ棒状分子を基板上に、その方向を揃え、垂直に並べて固定化する手法を開発しました。得られた分子の集合体は、その分子の方向に沿ってのみ電流が流れ、分子の先端に酸化還元酵素の活性が、分子に沿って流れる電流で制御可能であることを見出しました。
特徴
 私たちは、光を受けて電子を放出する分子をつけた基板上に、らせん状ポリアミノ酸分子をその分子軸方向に揃え、かつ、垂直に並べて固定した集積体の上に酸化還元酵素を結合させて、光により、その酵素の活性、すなわち、物質変換能を制御することに成功しました。
背景・従来技術
 このような、大きな分極を持つ分子、特にらせん状の形態をとったポリアミノ酸は、その分子軸方向に電子を流す”整流”作用が期待されていましたが、多数の分子を、その方向をそろえ、垂直に集積する手法はいまだ開発されていません。
実用化イメージ
 私たちの作った、らせん状ポリアミノ酸の一軸垂直配向集積体は、電子を1方向のみに通すダイオードとして有機電子材料に、また、その整流作用を利用したナノ反応場として期待できます。


らせん状分子であるペプチド分子のマクロダイポールを一軸垂直配向させたアレーの
模式図と、その電子移動方向の模式図。電流ー電圧特性のグラフは、基板からアレー表面への
電子移動が起こってることを示している。


一軸垂直配向させたペプチドアレー表面(●)およびペプチドアレーが存在しない表面(○)に
硝酸還元酵素を固定化した際の、光による酵素活性の制御。ペプチドアレー表面の酵素は、
基板表面の光誘起電子供与体から発生した電子が、ペプチドナノアレーの整流作用により、
効果的に表面酵素に伝達され、大きな酵素活性が生じている。

企業等への提案

研究者からのメッセージ
 樋口研究室では、分子の自己組織化を用いて形成したナノ構造体を用いて、各種機能性材料の構築を目的に研究しています。

文献・特許
・特許第 3834695号 「基体表面に一方向に配向したα-ヘリックス構造を有する定配序ペプチド集合体薄膜」
・”Functional Regulation of an Immobilized Redox Protein on an Oriented Metal Coordinated Peptide Monolayer as an Electron Mediator” X. Wang, K. Nagata, and M. Higuchi, Langmuir, 27(20), 12569-12574 (2011).
・“Formation and Electrochemical Investigation of Ordered Cobalt Coordinated Peptide Monolayers on Gold Substrates” X. Wang, K. Nagata, and M. Higuchi, Thin Solid Films, 520(7), 2884-2891 (2012).
・“Electric-Field-Enhanced orientated metal coordinated peptide monolayer and its electro-chemical property” X. Wang, S. Fukuoka, R. Tsukigawara, K. Nagata, and M. Higuchi, J.Collid Interface Sci.,390(1), 54-61 (2013).

試作品状況 無し 掲示可 提供可

 

利用可能な設備・装置 共同研究を希望するテーマ
実用化研究
用途開発研究
研究者データベースとのリンク(名前をクリックしてください)研究者名:樋口真弘
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